Rewrite プロローグ

2016.10.03 23:09 Mon| 125 visits gossip| Text

ある時、何も持っていないことに気づいた。

幸せが詰まっていると思っていたポケットは、実はからっぽだった。

そこに何を詰める努力もしてこなかったんだから、当然だ。

でも俺は、そんなことさえわからなかった。

漫然とした、中身のない人生を歩いてきたからだ。

そしてある日突然、自分がたくさんの時間を失っていると感じだ。

俺は誰とでも話せた。どんなヤツとでも。

でも親友はいなかった。ただのひとりも。

それがどういうことだか、考えるまでもない。

俺の人生は、ひどく薄っぺらいものだった。

昔馴染みの神戸小鳥だけが唯一、気兼ねなく話せる友達だった。

そう。

…友達、だった。

(…やり直すんだ)

(そして、次はうまくやる…)

切りなる願い。

でもたぶん、それはとても難しいことなのだ。

みんな苦労している部分なのだ。

人は自動的に幸せにはなれない。

自力で幸せに歩いていかなければならないんだ。

幸せって何だろう。

青春みたいなことだろうか? なら青春とは?

「なんか、まぶしいもの」と小鳥は言った。

「…知るか。いちいち考えることじゃねぇ」と吉野は吐き捨てた。

ずっと昔、誰だかが「人生は綱渡り」と口にした。

三人の意見は、どれも正しいように思えた。

眩しくて、知らなくて、恐ろしげなもの。

難しいはずだ。それは答えがないってことだから。

でもそんなものを探す旅を始めようと、俺は決めた。

だけど時間は残酷に過ぎていく。

あっという間に夏が来て、まばたきする間に秋となる。

気がつかばもう二年生だった。

焦っていた。

未だに俺は手ぶらのままで。

なのになにをすればいいのかさえ、見えていなかった。

空回りばかりしていたんだ。